アパレル・ファッションECサイトの売上アップ施策

  • 公開日:2022/11/30

近年のアパレル・ファッション業界では売上拡大のためにECの活用が加速しています。しかし中小企業を中心として、ECの導入に踏み切れないブランドが多く存在することも事実です。

ではアパレル・ファッション業界でのEC活用にはどういった課題があるのでしょうか。本記事では、業界全体のEC化率アパレルブランドがECを利用して売上を伸ばす方法について解説します。

目次

アパレル・ファッション業界のEC化率

経済産業省『電子商取引に関する市場調査』によると、2020年時点で「衣類・服飾雑貨等」のEC化率は19.44%。2019年のEC化率が13.87%ですので1年でおよそ1.4倍です。

短期間でアパレルEC化率が大幅に伸びた要因として大きいのは新型コロナウイルスの影響でしょう。消費者が実店舗へ足を運びづらい状況において、アパレル・ファッション業界でのECの重要性はますます高まっています

アパレル・ファッションECサイトでよくある6つの課題

まずはアパレルブランドがECを利用する際に直面しやすい6つの課題を紹介します。

自社ECサイトの集客が難しい

アパレルECサイトを運営する際、集客の難しさが課題です。

実店舗のように、たまたまお店を目にしたお客様がふらっと入る、といったことはありません。自社で集客戦略を立案・実行する必要があります。

特に自社サイトでECに参入したてのころには大きな壁となるでしょう。

ECモール内の競争が激しい

自社ECサイトでの集客が難しい場合にはAmazonや楽天市場といったECモールに出店することでECモールの集客力を利用して自社の商品の認知を広めることができます。しかしECモールには同業他社も数多く出店していることに注意が必要です。

特にアパレルでは低価格帯商品をウリに一定のユーザーを獲得しているショップもあり、ブランドを確立していないと激しい価格競争を強いられます。

ECモールに出店しただけでは思うような成果を得られないことも多く、別途ECモール内での集客施策が必要となります。

自社ECサイトが使いづらい

自社ECサイトの使いづらさは購入率を下げる原因の1つです。

ブランドの熱狂的なファンや特定の商品を欲しているユーザー以外は、サイトの使い勝手が悪いと感じたらすぐに離脱してしまいます。

自社ECサイトの使い勝手については他の記事でも解説していますので、そちらをご覧ください。

関連記事:ECサイトのコンバージョン率(CVR)改善施策。CVRが低い原因を知って改善しよう!

サイズや質感が伝わらない

ECサイトでは、実店舗と比べてアイテムのサイズや質感が伝わりづらいデメリットがあります。

材質や丈の長さが記載されていてもユーザー側は直感的に理解できません。実際に手に取れず感覚的な情報が伝わらないと、ユーザーに不安が残り「購入しない=売上が伸びない」という結果につながります。

試着ができない

ユーザーにとってECでアパレル商品を購入する際の最も大きなハードルが、試着ができないことです。

サイズ、材質や色味がわかっても、実際に着てみるまで自分に似合うかどうか自信を持てません。「着てみて似合わなかったどうしよう」と不安になり、無駄な出費を避けるために買わないことを選択するユーザーも多いでしょう。

在庫管理が複雑になる

実店舗に加えてECサイトを始めると、在庫管理が複雑になります。

「実店舗には在庫があるのにECサイトやECモールには在庫がない」といった機会損失を避けるためには、在庫の一元的な管理が必要です。商品在庫の一元管理を支援するサービスがありますが、サービスの導入だけではなく、在庫管理から商品出荷・配送まで含めた業務フローの見直しや社内ルールの設定等が必要になります。

アパレル・ファッションECサイトの課題を解決する売上アップ施策

ここからは、前述のアパレルECサイトにおける課題に対応した売上アップ施策例を紹介します。

課題対応施策の一例
自社サイトの集客が難しい・SEO対策
・WEB SNS広告
・SNSアカウント運営
ECモール内の競争が激しい・ECモール内広告
・ECモールキャンペーンとの連動
自社ECサイトが使いづらい・サイトUI/UXの評価
・継続改善  
サイズや質感が伝わらないライブコマースの導入
試着ができない返品の仕組みを整える
在庫管理が複雑になる商品在庫の統合管理

SEO対策

SEO対策は、Googleなどの検索エンジンの検索結果上位に自社サイトのページを表示させる取り組みを言います。検索数の多いキーワードで検索結果上位化を実現できると、費用を払わずに一定の検索流入を定常的に獲得することができます。ECサイトにおいてもSEO対策の取り組みは重要であり、例えばアパレルECサイトにおいては「かわいい ワンピース」といったキーワードで検索結果の上位に表示を実現できると、ワンピースを検索しているユーザーの一部が自社ECサイトを訪問することになります。SEO対策の基本は、ユーザーが検索するキーワードに対応するページを用意することから始まります。SEO対策を支援する専門業者も多く存在するため、コンサルティングを依頼するという選択肢もあります。

WEB・SNS広告

上述のSEO対策は、成果が出るまでに最低でも3か月程度から半年程度の期間がかかるという課題があります。成果が出るまでの期間においても自社ECサイトへの訪問を獲得するために実施できる施策がWEB・SNS広告です。ユーザーが検索するキーワードに合わせて広告表示する検索連動型広告、バナー画像などでサイトへ誘導するディスプレイ広告、SNS上のタイムラインなどに表示されるSNS広告などを組み合わせて実施することが一般的です。近年では広告を配信するユーザーのターゲティング精度が高まっており、狙ったユーザーセグメントに効率よく広告配信することも可能になっています。

SNSアカウント運営

自社ECサイトへの集客にはSNSアカウントを活用する方法もあります。

SNSは広告費をかけずに集客できるとともに、ユーザー起点で情報のシェア(拡散)が発生する強力な媒体です。Instagram、Twitter、Facebookなどサービスごとにユーザー層が異なるため、自社がターゲットとするユーザーが集まるサービスを利用して情報発信を行うことをおすすめします。また、SNS=若者が使うものというイメージもありますが、近年は年代を問わず利用者が増えているため40代以上の見込み顧客にもアプローチできます。

アパレルブランドであれば、コンテンツが画像や映像中心のInstagramの利用が効果的です。

各種SNS別の特徴と利用ユーザー層

SNS特徴
Instagram・写真や動画、テキスト
・20~30代女性の利用が多い
・ハッシュタグ検索で情報を調べる
・画像の訴求が強み
Facebook・写真や動画、文字
・20代~50代男女が中心
・実名制(InstagramやTwitterは匿名)
・長文の文字も可能
・Facebookイベント機能があるためイベント情報などの
利用もおすすめ
Twitter・140文字のテキスト、写真や動画
・10代~30代男女が中心
・拡散力が高い
・新商品やセールのお知らせなどの利用がおすすめ  
TikTok・動画、写真+テキスト
・10代〜20代の男女が中心
・拡散力がたかい
・ユーザーから共感を集めやすい

関連記事:ECサイト運営のよくある課題と解決策まとめ

ECモール内広告

楽天市場などのECモールでは、ECモール内やモールから配信されるメールマガジンなど様々な場所に自社ショップの広告を配信できるよう、広告メニューを提供しているケースがほとんどです。
ECモールでは自社と類似する商品を扱っている他社ショップも出店しているため、自社ショップのセール期間など、特に他店よりも多くの露出を獲得したい場合には、ECモール内広告を効果的に活用することをおすすめします。

ECモールキャンペーンとの連動

楽天市場などのECモールでは、毎月特定日などにポイント○倍といった、全店対象のセール企画やキャンペーンが開催されています。キャンペーン中は通常よりもはるかに多いユーザーがECモールを訪問して、お得にお買い物を楽しまれます。

ECモールで売上を上げるにはECモールが開催するキャンペーンを上手く活用することが大切です。
例えば楽天市場においては、一定金額以上で複数店舗を買い回ることでポイント付与倍率が上昇していくキャンペーンがユーザーに人気です。自社ショップ内でユーザーが買い回りやすい金額の商品を用意することで商品購入を促進することができます。定期的に買い替えが必要な商品であれば、次回以降のキャンペーンでリピート購入を狙うこともできます。

ECサイトUI/UXの評価・継続改善

ECサイトのUI(ユーザインタフェース)/UX(ユーザエクスペリエンス:顧客体験)について、定量・定性の両面から評価し、ユーザーにとって直感的に操作しやすく、必要な情報に容易にアクセスできるよう、ECサイトを改善する取り組みが重要です。ユーザーの「わかりづらい」「めんどくさい」という感情はサイトから離脱する原因となります。UI/UXを改善することで「欲しい」と思ったユーザーがスムーズに購入できるようにします。

ライブコマースの導入

ライブコマースは、オンラインライブ配信で出演者が視聴者に対して商品を紹介し購入を促す新しい販売手法です。リアルタイムの映像なので、様々な方法で商品の魅力を伝えることができます。

アパレルECサイトにおいては、商品のサイズや質感をわかりやすく伝えたい場合、ライブコマースが有効です。

●出演者が身長を公開したうえで実際に着てみる
●布を擦り合わせて音で質感を伝える
●光の角度や強弱を変えて素材の色味を見せる

コメントを利用してリアルタイムで視聴者の質問に答えられるため、不安や疑問を解消することで購入に結び付けることも可能です。

関連記事:アパレル業界のライブコマース事例を紹介。メリットや成功のポイントもあわせて解説!

また、ライブコマースサービスの一部では決済機能を実装しているため、ライブ配信を視聴しながら、気になった商品をその場で購入することが可能です。複数ページを遷移させることがないため、商品購入率が高くなる傾向にあります。

返品の仕組みを整える

試着ができないというアパレルECの課題は、返品の仕組みを整えることで解決できます。

ユーザーにとっては、「買う前に自分に似合うか確かめられない=無駄な出費になるかもしれない」ことがデメリットです。買った後でも少ない負担で返品できるようにすれば無駄な出費になる不安が減るため、購入を促進して売上を伸ばせます。

商品在庫の統合管理

在庫管理の複雑さがEC売上を伸ばすうえでの課題であれば、商品在庫の統合管理ソリューションの導入を検討しましょう。実店舗・自社ECサイト・ECモールそれぞれの在庫を一元的に管理し、在庫の偏りによる機会損失を減らせます

実店舗・自社サイト・ECモールなど複数の販売経路を展開する場合は、在庫管理ソリューションや保管・配送代行サービスの利用を検討してみてください。

経験豊富なシステムベンダとともに業務フローの再設計から始めることも有効です。

BIPROGY株式会社では通販・EC業界への30年以上の支援実績をもとに、通販業界の業務に精通している専門メンバーが効率的な業務フロー実現を支援しています。オムニチャネル下の商品在庫管理にお悩みの際はぜひBIPROGY株式会社までお問い合わせください。

関連リンク:デジタラトリエ | OMO時代のEC・通販・店舗事業の総合ソリューション

自社ECサイトでのライブコマース導入なら「Live kit」

前章ではECサイトへの「ライブコマース」導入がアパレルEC運営に立ちはだかる多くの課題の解決策になりうることを説明しました。

BIPROGY株式会社が提供するSaaS型ライブコマースサービス「Live kit」では自社サイトでのライブコマース配信や購入機能はもちろん、企画や分析まで一気通貫にサポートしています。
ライブコマースの知見を有する専門チームがはじめてのライブコマースにおける企画・配信を全面的に支援します。

一般的なCVR(購入率)が2〜3%と言われるEC業界で、Live kitを利用した配信では平均CVR10%以上の実績があります。(※Live kit 内購入型配信において、商品売上が10万円を超えた配信)
また、企画や商材に合わせたインフルエンサーやタレントのキャスティングも可能です。

アパレルブランドのEC売上を伸ばしたい方ライブコマースの導入を検討している方はぜひ一度お問い合わせください。

アパレル・ファッション業界のEC施策まとめ

コロナ禍において、アパレル・ファッション業界のEC化率は他の業界同様に上昇しています。今後もお客様の実店舗離れが加速すると予想されるなか、これからのアパレル・ファッション業界で生き残るには、ECを活用した売上拡大が欠かせません。この記事で紹介したアパレルECサイトの売上アップ施策も今後の施策検討の際にぜひ参考にしてください。

課題対応施策の一例
自社サイトの集客が難しい・SEO対策
・WEB SNS広告
・SNSアカウント運営
ECモール内の競争が激しい・ECモール内広告
・ECモールキャンペーンとの連動
自社ECサイトが使いづらい・サイトUI/UXの評価
・継続改善  
サイズや質感が伝わらないライブコマースの導入
試着ができない返品の仕組みを整える
在庫管理が複雑になる商品在庫の統合管理