ライブコマースの課題と対策。なぜうまくいかない?成功事例もご紹介!

  • 公開日:2022/08/25

コロナ禍でオンラインでの商品購入が加速し、ライブ配信とECを組み合わせたライブコマースが注目されています。しかし中国のように巨大な市場が形成されている国もある一方、日本におけるライブコマース市場については明るいイメージを持っていない方も多いでしょう。

本記事では日本におけるライブコマースの事例や、課題とその対策をご紹介します。

1.ライブコマースがうまくいかないと言われている理由

日本のライブコマースがうまくいかないと言われているのは、下記のような理由からです。

●ECモールを中心に撤退事例が多い
●成功事例が目に入りづらい

それぞれ解説します。

ECモールを中心に撤退事例が多い

日本では2010年台後半からライブコマースに参入する事業者が増え始めました。ヤフオク・メルカリ・BASEなどのECモール大手がライブコマースプラットフォーム事業を始めたものの、2022年7月現在では多くが撤退しています。有名企業であるため、ライブコマース失敗の印象がより強く残った結果です。

しかし先述の例はライブコマースプラットフォーマーとしてECモールが参入した事例であり、販売事業者ではありません。ひとくちにライブコマースと言っても、参入角度がさまざまである点は留意したいところです。

成功事例が目に入りづらい

ライブコマースの成功は、下記のような理由から事例として目に入りづらい現状があります。

●ライブコマースでの成功を積極的にアピールする企業が少ない
●時間をかけて育てるタイプの事業であるため、爆発的な話題になりづらい

しかし実際は、ライブコマースを導入し成功している企業は少なくありません。次章で、ライブコマースで成功している企業をご紹介します。

2.実は多くの成功例があるライブコマース

下記4パターンの、ライブコマース成功事例をご紹介します。

●アパレル通販
●グッズ通販
●家電通販
●実店舗送客、資料請求

関連記事:国内ライブコマースの活用事例を紹介。失敗しないために知っておこう!

アパレル通販の事例|Oggi×グリーンレーベルリラクシング

小学館の女性ファッション誌『Oggi』とアパレルブランド「グリーンレーベルリラクシング」がコラボして行ったライブ配信です。

配信テーマ:【Oggiライブコマース】きれいめ派の「先物買い」はサンダル&メッシ
      ュバッグで!

目玉のアイテムだけでなくコーディネートとして紹介することで、視聴者が使用シーンを想像しやすく満足度の高い配信となりました。

グッズ通販の事例|阪神タイガース

元阪神タイガースの今成亮太さんがライバーとなり、阪神タイガースのグッズを紹介するライブ配信です。

配信テーマ:今成亮太のLIVE SHOPPING

人気番組となり毎週配信が定着し、キャンプ地の臨場感を届けたりファン感謝祭を開催したりとタイガースファンとの交流の場となっています。

家電通販の事例|ヤマダデンキ

家電量販店のヤマダデンキが、テレビショッピング風に商品を紹介したライブ配信です。

配信テーマ:ヤマダオリジナル 音声操作ベッド アシステック 徹底解説

企業にとってはテレビショッピングの枠を利用せずに商品を紹介でき、視聴者にとっては家にいながら店員に疑問を答えてもらえるため、双方にとってメリットがあります。

実店舗送客・資料請求の事例|レトロ婚フェス

結婚式場を運営する会社が、ブライダルフェアや式場を紹介したライブ配信です。

配信テーマ:体感型イベントでふたりらしいスタイルが見つかる♪ レトロ婚フェス

ライブコマース=ECというイメージが強いものの、実店舗への送客や資料請求を目標とした配信も成功事例があります。

さらに詳しく事例についてのご紹介している記事もありますので是非ご覧ください。
国内ライブコマースの活用事例を紹介。失敗しないために知っておこう!

3.日本におけるライブコマース市場の課題

日本のライブコマース市場に存在する課題について3点解説します。
以下3点に共通して言えるのは、日本のライブコマース市場がまだ発展途上であるということです。

ライブコマース自体の認知度が低い

MMD研究所が行った調査では、56.8%もの人が「ライブコマース」という言葉を「全く知らない」と答えました。さらに「言葉は聞いたことがあるが、利用方法や内容はよく知らない」と答えた人と合わせると71.6%にのぼります。

企業がライブコマース事業を推し進めたいと考えていても、消費者の中にライブコマースという概念が存在しなければ普及するのは中々難しいです。

ただし認知度については、時間経過によって解決される問題とも言えます。ライブコマースが市場全体として盛り上がっていけば、消費者側の認知度も自ずと向上するでしょう。

参考:MMD研究所『ライブコマースに関する利用実態調査

ライブコマースでの購入経験が少ない

前述のMMD研究所の調査において、「ライブコマース」を「視聴し、商品を購入したことがある」と答えた人の割合はたった5.8%でした。

事業者であれ消費者であれ、初めての経験をする際には不安になります。つまり、事業者側がライブコマースの成否に不安になるのと同様に、消費者側もライブコマースでの購入に不安を感じているということです。

なお、購入経験の少なさに関しても時間経過によって改善が見込めます。ライブコマースが広まり身の回りでの購入体験談が増えていけば、初めてであっても不安は少なくなるでしょう。
それと同時に、多くの企業がライブコマースを実施し、より多くの購買の機会が視聴者に与えられることも重要です。

中国市場を真似しても効果が弱い

中国はライブコマースの先端市場で、2020年予測時点で9610億元(2020年6月のレートで約15兆円)もの市場規模があります。しかし日本のライブコマースを発展させるうえで、中国市場を模倣しても大きな効果は見込めません。
中国でライブコマースが流行したのは、ECでは粗悪品が多い、実店舗に行っても接客の質が低い、人から買う文化があるといった背景からです。もともとの商品への信頼度が低いため、インフルエンサーによる後押しが購入の強いきっかけになりました。

しかし日本の場合、ECでも粗悪品は少なく、実店舗に行けば丁寧な接客を受けられます。したがって、単にインフルエンサーがライブ配信するだけでは中国ほどの爆発的な売上は見込めません。全体の戦略から個別の施策に至るまで、ただ中国を真似するだけではない工夫が求められます。

では、日本市場でライブコマースを成功させるために、具体的にどのようなことを意識すればよいのでしょうか。

参考:消費者庁『ライブコマースの動向整理

4.ライブコマースを成功させるポイント

日本においてライブコマースを成功させるために意識したいポイントは次の5つです。

●企画
●出演者
●コミュニケーション
●分析
●ツール

下記でそれぞれ解説します。

さらに詳しくご紹介している記事もありますので是非ご覧ください。
ライブコマースの始め方。失敗と成功を分けるポイントとは
CVR20%超えを実現!ライブコマースで視聴率・購入率アップを実現する”秘策”とは?【セミナーレポート】

視聴者のためになる企画を立てる

まずはライブ配信に視聴者を集めることが重要です。押し売りは避けて、視聴者のためになって「観たい」と思われる企画を作りましょう。例としては、アパレルなら季節の流行先取りコーデ、食品なら使い回しレシピなどの企画です。他にも店頭やECでの購入では実現できないような企画や紹介をすることも大切です。
また視聴者の利便性を考え、必要に応じて他社製品も紹介するといった配慮も忘れないようにします。

意図を持って出演者を起用する

ただフォロワーが多いだけのインフルエンサーを起用しても意味がなく、売上も伸びません。コスメだからメイク系のYouTuberを起用する、10〜20代向けのアパレルブランドだからその層に人気なインスタグラマーを起用する、といったように商品や顧客層との親和性を重視、意図を持って出演者を決めましょう
また必ずしもインフルエンサーを起用する必要はありません。下記のような戦略も考えられます。

・自社スタッフを継続的に出演させ、スタッフのファンを作る
・デザイナーが出演して商品への熱量を語る
・非販売スタッフが出演して等身大の感想を述べる

視聴者とのコミュニケーションを重視する

視聴者とリアルタイムでコミュニケーションを取れることが、ライブコマースの強みの1つです。視聴者からの質問に答えたり出演者から問いかけたり、双方向でのコミュニケーションがライブコマースの成果最大化につながります。
特に視聴者の疑問解消は売上に直結するため、コメントで寄せられた質問には取りこぼしなく答えましょう。

配信後にデータを分析する

ライブ配信の後にデータを分析しなければ、効率的に視聴者数や売上を伸ばせません。どんなデータが出ているか、どうすれば改善できるのかといった分析を行い、改善施策を次回以降のライブ配信で実行します。
「配信→分析→改善→実行(配信)」というサイクルを続けることで、ライブコマースが成功に近づきます。

関連記事:ライブコマースを成功に導く「分析」方法を解説。改善して売上アップ!

適したライブコマースツールを利用する

ライブコマースの主な配信方法は、YouTubeやInstagramなどで行うSNS型、楽天市場やYahoo!ショッピングなどで行うECモール型、ツールを利用し自社サイトで行うSaaS型の3種類です。

配信方法メリットデメリット
SNS型・無料で利用できる
・既存フォロワーへの告知が簡単
・スムーズな購入導線の設計が難しい
・分析には専用のツールが必要
ECモール型・大手ECモールの信頼や集客力を借りられる
・ポイントなどが購入の動機になる可能性がある
・販売手数料が発生する
・分析には専用のツールが必要
SaaS型・視聴から購入までの導線をスムーズに設計できる
・分析機能が整っている
・運用サポート体制が整っている
・月額利用料がかかる
・SNS型やモール型より集客に工夫が必要

上記のようにそれぞれメリット・デメリットがあり、全ての場合において最適な方法はありません。ただしライブコマースの経験値がない(もしくは少ない)事業者に限って言えば、SaaS型がおすすめです。利用料はかかるものの、ライブコマースに必要な機能が整っているうえ、ツール提供会社が持つノウハウを利用できます。さらには配信の支援も行っていて手厚いコンサルティングを受けることができます。

さらに詳しくサービスタイプについてご紹介している記事もありますので是非ご覧ください。
ライブコマースサービスにはどのようなものがある?タイプ別にサービスを紹介

5.ライブコマースを企画・配信から分析までサポートできる「Live kit」

ライブコマースに新規で参入する場合、企画立案から配信後の分析・改善まで一気通貫にサポートしてくれる環境が重要です。

SaaS型ライブコマースツール「Live kit」では、ライブコマースに必要な配信・カート・分析といった機能に加えて、専門コンサルタントによるワンストップでのサポートも提供しています。
また、Live kitはIT導入補助金の対象に認定されています。
IT導入補助金を使うことでお手軽にサービスをご使用いただけます。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【最大補助率3/4以内】Live kit が「IT導入補助金2022」の申請対象に認定されました。

これからライブコマースを始めようと検討している方や、すでにライブコマースを始めてみたけれどうまく成果が上がらない方は、ぜひ一度お問い合わせください。